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超音波洗浄機の原理

超音波洗浄とは?

工業製品の品質を高める超音波洗浄

超音波洗浄は、水や溶剤を超音波により振動させ、被洗浄物(ワーク)に付着した油や微細な塵・汚れなどを洗浄する技術です。身近なところでは、メガネ店の店頭に置いてあるメガネを洗うための超音波洗浄機があります。産業用としては、機械部品の金型、工具等の切削油、切削粉・切粉(キリコ)、研磨粉(バフ粉)や離型剤の除去、メッキの前の脱脂洗浄、鉛フリーのプリント基板のフラックスの除去や半導体部品の洗浄など、幅広い用途で利用されており、工業製品の歩留まり向上、品質向上に大きく貢献しています。

また、超音波洗浄機は、「洗浄」のみならず、脱泡・脱気、分散、撹拌や破砕などの用途に使用されています。

超音波による洗浄の原理

超音波洗浄は、超音波の”物理的作用”と洗浄液の”化学的作用”を組み合わせることによって、洗浄効果を得ています。

●物理的作用
キャビテーション、振動加速度、直進流などが、汚れを剥離、分散、乳化します。
●化学的作用
洗浄液による化学的作用と、超音波による化学反応促進作用が汚れを溶解・分解します。

超音波洗浄の仕組み

キャビテーションによる洗浄

キャビテーション イラスト
液体中には無数の気体分子が存在し、20kHzから100kHzほどの強力な超音波が液中に照射されたときに、正・負の圧力がその気体分子に交互にかかります。正の圧力で圧縮された気体分子は、次の瞬間には負の圧力により激しく膨張します。この繰り返しによって圧縮時に気体分子は非常に高い圧力を持ち、その限界で弾けて消滅します。この非常に大きな衝撃的圧力の発生を「キャビテーション現象」といい、泡が弾ける時の衝撃波がワークに作用して、異物を剥離させる作用を「キャビテーション効果」といいます。
主に低・中周波での洗浄作用です。

実際に超音波洗浄機を使用する上では、キャビテーションは液深、液種によっても発生の仕方が変化します。このため良好な超音波洗浄を行うには、これらの管理が不可欠です。

粒子加速度による洗浄粒子加速度 イラスト
加速度による超音波洗浄は、水分子が加速されワークにぶつかり、その衝撃によりワークからパーティクルを剥離させます。周波数が高ければ高いほど効果があり、付着力の弱い非常に微細なパーティクルの剥離に有効です。加速度は周波数の倍数の2乗に比例して大きくなり、波長も小さくなって、より微細なパーティクルに対して有効です。
主に中・高周波での洗浄作用です。

直進流による洗浄

超音波エネルギーが0.5W/cm2以上になると振動面から遠方に向かって直進流が発生します。これが塵埃の分散に寄与していると考えられています。
主に中・高周波での洗浄作用です。

低周波での洗浄作用

バッチ式洗浄機

金属、樹脂部品の脱脂洗浄、精密金属の部品洗浄

キャビテーションによる衝撃圧が頑固な汚れの洗浄に有効です。機械部品の金型、工具等の切削油、切削粉・切粉(キリコ)、研磨粉(バフ粉)や離型剤の除去、メッキの前の脱脂洗浄、鉛フリーのプリント基板のフラックスの除去などの”一般洗浄”に適しています。
しかし、キャビテーションは液深・液種によっても発生の仕方が変化するので、良好な超音波洗浄を行うには、これらの管理が不可欠です。管理が不十分であると、超音波が有効に液中に出ていないだけではなく、振動面を痛め(エロージョン)振動板の劣化を早めてしまう恐れがあります。

エロージョン:超音波のキャビテーション現象で発生した物理力により、アルミニウム等の柔らかい素材の表面が浸食されてしまう現象です。エロージョンの発生量は、超音波の強さに比例し、周波数に反比例します。

◆定在波(洗浄ムラ)について

洗浄むら超音波を照射すると、液中に周波数に応じた『定在波』が生じます。λ/2の整数倍ごとに汚れの良く落ちるところが発生します。(λは1波長)
汚れが落ちる一方で、ワークにダメージを与えてしまう可能性もあります。定在波の影響をより少なくするため、ワークの揺動や多周波発振なども考慮します。汚れの落ちやすさとワークへ与えるダメージをバランスよく見極める必要があります。

アルミ箔での比較例


定在波 アルミ箔 比較

中・高周波での洗浄作用

当社は、超音波のキーテクノロジーである、圧電セラミックス材料から振動子の生産をおこなっています。自社設計ならではの特長ある振動子を納期・品質・コストにおいて最高のパフォーマンスで設計・製造し、製品に組み込んでいます。

多彩な超音波洗浄機ラインナップより、お客様に『ぴったり』な洗浄機が見つかりますようにご提案をしております。

バッチ式洗浄機

半導体ウェーハのバッチ処理洗浄

バッチ式洗浄機 イラスト半導体ウェーハをMHz帯の超音波洗浄槽に入れて複数枚数同時に洗浄する方法です。
(1)一度に多くのウェーハを洗浄できるので時間短縮に繋がる
(2)枚葉式と比べて洗浄液が比較的少なくてすむ
(3)二重槽など薬液の使用が容易などの理由からこの方式は主流になっています。
通常バッチ式にて薬液を使用する時には、洗浄槽と石英槽の二重構造として間接的に照射するディップ式洗浄が多く用いられています。また、石英槽を使用することで、金属イオンや不純物の溶出を避け、クリーン度を保つ効果も得られます。
しかし、バッチ式洗浄は、基板の大型化に伴い装置の大型化や、基板パターンの微細化に伴いパーティクルの再付着が問題として提示されています。

石英振動体型洗浄機

低ダメージ、高クリーン度を実現する次世代洗浄

石英振動体型洗浄 イラスト2006年に本多電子は世界初となる世界初となる石英振動体型超音波洗浄ユニットを開発しました。本方式では、石英振動体に超音波を重畳させて半導体ウェーハを洗浄します。バッチ式や流水式に比べて薬液使用量を削減できること、接液部が石英ガラスと耐薬品性の樹脂のみで、パッキン等のゴム材が接液しないため、クリーンであることなどの特徴があります。また、石英振動体の形状を変えることにより低ダメージ洗浄や大面積洗浄、落ちにくいベベル(端面)やノッチ(ウェハ端面の切欠き)部分の洗浄など、ニーズに応じた効果的な洗浄を行うことが可能になります。

流水式洗浄機

世界で初めて開発した流水式洗浄

流水式振動子 イラスト1986年世界で初めて当社が開発しました。ノズル先端から放射させた流水にMHz帯の高周波超音波を重畳させてワークを精密洗浄します。放射された流水は超音波の伝播と同時に超音波作用で剥離した汚れの輸送媒体として機能します。

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