超音波カッターを導入検討している人や、使い方を知りたい人に向けた紹介記事の連載を開始! 模型製作で使用される定番素材を用意して、超音波カッターでの切れ味を比較。切りにくい素材も力を入れずにカット可能な超音波カッターの使い所や使う上でのコツを調査した。
プラモデル等でお馴染みのプラ材(スチロール樹脂)。超音波カッターを使用したカットの他、削り出しやプラの内部を削ぐことにも使える。今回は5mm丸棒を用意して切断した。プラ材をカットする際は卓上に置いて切るのではなく、手持ちで浮かせた状態でカットするのがおすすめ。左手でプラ棒を持ってゆっくり回転させながら超音波カッターの刃を滑らせるように使用するとカットしやすい。刃をゆっくり押しつけるとプラ材を溶かしながら切断することができる(写真参照)。またハイモードではプラの溶けが顕著なため、溶けを最小限に抑えたい時は超音波カッターの出力をノーマルモードで使用したり、薄刃(ZH14/ZH16)を使用しよう。 |
▲ハイモードで使用して切断。プラ材を大きく溶かしながら楽に切断している。▲切り出しから削りなど、様々な場面で力を入れずに作業を進めることが可能だ。 |
固く硬化するためデザインナイフ等では切断しにくいエポキシパテやレジンキャスト。これらの素材も超音波カッターでの作業に向いている素材だ。例えば硬化物の肉抜きや、バリ取りなどはカッター等を使用すると時間も力も必要だが、超音波カッターであれば、楽に作業を進めることが可能。今回はエポキシパテを用意。切断はもちろん、表面にモールドを刻む等の作業を行った。短い時間で楽にパーツを切り出すことができた。ただし硬度の高いものを切断する際は同じ場所に刃を押しつけると振動により熱を帯びやすいため連続で刃を押しつけるのは厳禁。作業中は時々対象物から刃を外すなどして、内部に熱を残さないように作業するのが良いだろう。 |
▲硬化時の硬度の高いタイプのエポキシパテを用意。超音波カッターで表面をなでるように刃を滑らせ、パテ表面を薄く切り出してみた。 |
型取りで使用するシリコンゴムも超音波カッターで切りやすい素材の1つ。カッター等の刃が通りにくいシリコンゴムでも面白いようにカットすることができた。なおシリコンゴムはプラ等とは異なり溶け等もほとんど発生しないため、時間をかけて慎重に刃をコントロールしてカットすることが可能。また長刃(ZH10)を使えば、奥行きのある型もカットしやすい。余談だが使い古しのシリコン型を刻む時にも超音波カッターは便利。力を入れずに切れるため、作業の負担を軽減することができる。 |
▲シリコンゴムをカット。2回に分けて刃を入れ、三角に切り出す。▲切断面を横から確認。実は切り出したシリコンゴムを元の場所に乗せると切断面がわからないくらいぴったりと収まる。 |
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