超音波カッター使用レポート
超音波振動の熱を緩和する

超音波カッターを連続で使用した際に起こる素材の発熱。
超音波の振動により素材自体が振動するため起こる現象だが、切断する素材を手で保持している時にはやけどをする危険もある。
こまめに作業を止め素材が冷えるのを待ちながら作業をするのがベストだが、それでは快適な超音波カッターによる加工のスピードが落ちてしまう……というわけで、今回は超音波カッターで切断する際に熱を緩和しながら素材を保持する方法を紹介しよう。

シリコンシート

素材の保持のため注目したのはシリコン。 シリコンは耐熱性が高く、滑りにくいため素材を保持するのにぴったりなのだ。 今回は100円均一で販売されている鍋敷き/鍋つかみとして販売されているシリコンシートを用意。店頭には他にもミトン状のもの、トング状のもの等があったが、今回は使い回しがしやすそうなシート状のシリコンシートを使ってみることにした。

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鉛筆


最初に試したのは超音波カッターによる鉛筆削り。 鉛筆は木材と芯という複合素材の組み合わせのため、今回試した物の中では比較的保持する手に熱は伝わりにくいが削りが長時間に及ぶと鉛筆を持つ指が熱くなっていく。
しかし、シリコンシートでおさえながら削ることで熱を緩和。 作業としては刃を横に寝かせた状態で荒削りを行った後、刃を立てカンナ削りを行い仕上げた。

鉛筆
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割り箸


次に用意したのは割り箸。木の単一素材なので、振動の伝わりかたは鉛筆より早く、すぐに素材自体が熱を帯びるが、シリコンシートで保持することで鉛筆同様の尖った状態に仕上げることができた。

割り箸1
割り箸2

さらに、より熱を帯びやすい切断も試してみた。同じ場所に刃を当て続けるため、切断面が焦げるほど熱を帯びたが、シリコンでおさえることでやけどすることなく、最後まで快適に切ることができた。

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プラ棒


次に用意したのはプラ棒。経が3mmと割り箸よりも細い。 また熱を加えると柔らかくなる(溶ける)特性から、木材に比べて1回あたりの切断が早いため、あえて熱を持つように連続してプラ棒を切断。 しかし、こちらも問題なく切断することができた。

プラ棒
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爪楊枝


さらに細く硬い素材として、爪楊枝の切断を試みた。 前もって素手で保持した状態での切断を試みたが、長さの短い爪楊枝は保持する位置と切断部分が近いせいか、すぐに保持する指が耐えきれないほど熱くなる。
しかしシリコンシートで保持しながら切断を試みたところ、最後まで楽に切断することができた。 ただし素材自体が細いためか、シートではやや保持しにくい。 こういった細い素材を切断する際は、クランプ等を用意して保持した方が切断しやすいかもしれない。

爪楊枝

切れ味の良い超音波カッターだが、素材の保持する方法によっては作業効率が大きく落ちてしまう。素材によって保持する方法や切断環境を考え、超音波カッターのパフォーマンスを引き出せるよう工夫することを意識しよう。

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