超音波カッター使用レポート
クリアファイルを溶着する

今回は替え刃の中でも特に人気の高い平板を使ったクリアファイルの溶着加工を紹介する。平板については以前Report.4で削りによるモールド加工にて紹介しているが、今回はクリアファイルの溶着についてのレポートとなる。溶着刃では難しい厚みのある素材であるクリアファイルのように厚みのある素材を容易に溶着していく平板の実力を注目しつつ、今回のレポートを見てほしい。

替え刃紹介 平板1mm ZH07

プラスティックモデルのダメージ表現や泥等の盛り上がりに適した替え刃。刃が無い特性を活かして、溶着加工にも使用可能(ただしフィルム等の薄い素材の溶着については『溶着刃』が最適)。


※今回の記事では超音波カッターZO-41を使用。パワー設定はすべてNormalモードにて作業を行った。
平板1mm ZH07

レシート入れの作成

まずはクリアファイルの簡単な溶着加工を試してみる。最初ということもあり、財布内に納めるレシート入れを作成した。切断時のサイズは6cm×14.5cm。1面がつながった状態になるようにクリアファイルの折り込んだ部分を切断。その後、開いている側面6cmを平板で溶着加工することにした。

最初に財布のサイズ、レシートの大きさを測りサイズを決定。財布の中で少し余裕があるサイズと言うことで……6cm×14.5cmのサイズで製作することにした。まずは超音波カッター標準刃で、クリアファイルを算出したサイズ分カットする。その際マジック等でマーキングを行うと作業中に汚れ等が発生する可能性がある。そこで今回はマスキングテープで切断ならびに溶着する位置をマーキング。テープに沿って溶着を行った後、テープをガイドにクリアファイルを切断する加工を行った。さて、実際の溶着の方法はいたって簡単。平板をセットした超音波カッターを垂直に押しつけて溶着するだけ。5秒以下の時間で平板の形にクリアファイルが圧着される。あとはできるだけ隙間をつくらないようにミシン目を入れる要領で溶着を繰り返した。

▲マスキングテープに沿って溶着を行う。溶着時間が短すぎるとクリアファイルを開いた時に裂けることもある。平板がクリアファイルを溶かしながら沈むのを確認しながらしっかりと溶着しておきたい。
溶着が完了。今回は6cmの距離を溶着しただけなので、2分程度で溶着が終了した。よほど強い力で開かない限り、溶着部分が裂けることは無いだろう。
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財布内に作成したレシート入れをセットし、実際にレシートを入れてみた所。クリアファイル内にまとめておくことで、レシートの破れや紛失、折れ等を防ぐことができる。また、帰宅後に財布からレシートをまとめて取り出すことも容易になるだろう。

ブックカバーの作成

次はクリアファイル一面を使い、文庫本のブックカバーを作成した。大事な本の保護や、表紙がよれた古本を読むとき等に活用することを考え作成した。作業内容的には切り離したクリアファイル同士を溶着するなど、レシート入れよりは工程数が多い。しかし、マスキングテープ等で位置決めを行いつつじっくり作業を進めれば決して難しい作業ではないはずだ。

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まずはサイズの決定。カバーをかけたい本のサイズを計測する。溶着面を確保するため、実際の本の高さから上下4mmほど余白を設けた状態でサイズを算出。レシート入れの時と同様切断面にマスキングテープを貼った後、テープをガイドに超音波カッターの標準刃でクリアファイルをカットした。

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本の裏表紙をセットするポケットを作成する。まずは切り出したクリアファイルの該当部分をしっかりと折る。しかしいくらしっかりと折りこんでもクリアファイル自体かなりの弾力性があるため、そのままで
は溶着時にずれる可能性が高くなる。そ
のため固定位置を保持するためマスキン
グテープを貼り付け。その後、上下にミ
シン目状に溶着を行っていく。

溶着終了。本を無事セットすることができた。溶着の位置によっては、裏表紙に干渉し本がセットできなくなることもある。溶着する幅を頭に入れつつしっかりと加工していこう。
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次に表紙側の加工を行う。折り返し部分をセットしやすくするため折り込み部分を斜めに切断する。この時もマスキングテープをガイドにして切断を行った。

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次に折り返し部分を納める帯状の部位を溶着する。クリアファイルの余白部分を切り出し折り返し部分を固定する位置に重ねる。しっかりと位置決め&サイズ調整のカットを行ったらずれないようにマスキングテープでしっかりと固定。その後は裏表紙側の溶着と同じ要領で固定部の上下をややきつめに溶着する。

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溶着が完了したらマスキングテープを剥がし、本をセットしてみる。接着剤等と異なり超音波カッターによる溶着加工は乾燥時間が不要なので、加工終了後にすぐにこれらの確認が取れるのも良い点だ。
実際に本を使って試してみた所、しっかりと表紙をセットすることができた。ただし、作業直後の状態ではクリアファイルの弾力があり表紙がやや開いてしまいがち。ただ、これらの不満もしばらく本棚に収めておくことで本の形になじみぴったりなブックカバーになるはずだ。

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元の表紙を入れた状態でカバーをかけてみる。クリアファイルを使用しているので元の背表紙の書名や表紙のデザインもそのまま確認することができる。ある程度の埃や水はねからも本を守ることができるため、本棚で保存しておきたい本に作成し、かけておくのもおすすめだ。

溶着によるクリアファイルの加工を紹介した今回のレポート。簡単に未使用のクリアファイルを加工したり、印刷済みのクリアファイル等を使うことで新たな痛グッズを作成することも可能になる。また、溶着による素材の貼り付けは接着剤等と異なり乾燥時間を待つ必要が無いため、サイズやフィット感を作業直後すぐに確認できるのも大きな魅力と言えるだろう。

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