超音波カッターを使う時に確認しておきたいポイントが、「使用する刃」と「刃の固定具&ネジのコンディション」。作業に入る前または作業後に確認することで、超音波カッターをより長持ちさせよう。 |
使用状態による替え刃の変化
使用前 |
超音波カッターを使用した際の刃のコンディションの変化を見ていこう。使用前は刃先の欠けもなく、刃全体の切れ味も落ちていない状態。切るものに刃先を容易に入れることができ、カッターを引いた際もなめらかに直線がカットできる。 |
▼先端が欠けている 一見すると未使用のものと大差が無いように見えるが、刃先が欠けている状態。硬い素材を刃先を使って切断を行うと起こりやすい。写真の標準刃は、ガラスマットの上で厚紙を何枚かカットした後の状態だ。刃の大半の部分の切れ味は落ちていないため、紙やプラ板等を直線に切ることは可能。ただし、刃先が欠けているとカッターの位置決めが難しくなり、狙った部分を切ることが難しくなる。また刃が浮いた際に刃先が横滑りし、素材を傷つける等の可能性もある。少し惜しい気もするが交換したほうが良いだろう。 |
▼焼けが生じた状態 刃のある部分を中心に全体が黒く焼けた状態。これはReport3でZO-80のS-HigモードでMDF板を切断した際に使用したものだ。刃のコンディションを確認すると刃先の欠けも無く、刃自体のがたつきも無い……のだが、切断に使用するには難がありすぎる状態。まずこの状態の刃は滑りが極端に悪く少し切るごとに引っかかったような感覚が残る。また、切断する素材によっては刃の焦げた色が移ってしまうことがある。プラモデルのダメージ加工等なら使用できるかもしれないが、交換を強く推奨する。 |
刃交換の際は刃固定具と固定ビスを確認
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刃を交換する際は必ず刃固定具と固定ビスのコンディションを必ず確認しておこう。刃固定具と固定ビスは小さなパーツだが、超音波カッターの心臓とも言うべき重要なパーツ。豊富な替え刃を持っていても、これらのパーツが破損してしまえば超音波カッターは一切使えなくなってしまう。また、本体に取り付けた状態で固定ビスのネジ山が潰れてしまえば、新しい刃に変えることも古い刃を取り外すこともできなくなる。刃固定具セットは常に予備を用意しておきすぐに変えられる状態にしておこう。 |
▼割れた刃固定具 刃固定具が割れた状態。これは取り外した直後に砕けたが取り外す前に砕けた場合、固定ビスに干渉しパーツが外れなくなり刃の交換が不可能になることもある。その場合は、エコーテックでの修理対応になってしまうので注意。 |
▼劣化した固定ビス こちらはコンディションが悪化した固定ビス。ネジ表面の茶色い部分は錆ではなく切断した樹脂が張り付き変色したもの。またネジ山にも劣化が見られる。ネジ山の劣化には特に注意しておきたい。 |
切れ味を保ち、刃固定具の状態を確認するためにも刃の交換はこまめに行おう! |
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BackNumber 20〜11
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