超音波カッター使用レポート
スマホケースの軽量化

身近なアイテムを超音波カッターで自分好みにカスタムする。今回は人によっては最も触れている時間が長いスマートフォン……そのケースをカスタムしていきたい。
今回カスタムするのはハードタイプのケース。落下時にスマホの衝撃から身を守るアイテムだが、頑丈な分少し重いと感じることもあるだろう。これらのケースに用いられているのは高確率で衝撃に強いもののカッター等の加工に向かないポリカーボネイト(以下PC)を使用している。
PCを実際に通常のカッターで切断を試みると、表面で滑り思わぬ所までキズをつくったり、切断が浅くなり切り離す際に割れが生じるなど、なかなか難しい。

しかし超音波カッターならば……!?
今回はPC製のスマホケースを超音波カッターで軽量化する加工を行ってみた。

今回使用した機材

超音波カッターZO-80を使用。替え刃は標準刃を使用した。パワーはNormalモードとHighモードを使用。切断対象となるスマホケースはPC(ポリカーボネイト)製。サイズは約160mm×80mm、厚みは約1.5mあった。


▲透明素材の切断する際は、使用する刃は新品のものを用意しておくのがおすすめだ。


 PC(ポリカーボネイト)の特徴

最高の耐衝撃性を持つプラスティック素材。アクリルの約50倍の耐衝撃性を持つ。透明度もガラスと同等とかなり高く、スマホ等のケースにもよく用いられている他、カメラのレンズにも使われている。ただし衝撃に強い特性から、電動工具を用いない加工(手動によるカッターナイフ等の加工)は難しい。また無理に力を加えて切断すれば白化しやすく、折角の透明感も失われてしまう。小型の鋸なら切断することは可能だが、時間がかかる上細かい粉塵が出てしまうためその加工は現実的とは言いがたい。さらにPCは有機溶剤等に弱くひび割れや破損がしやすい。切断補助のためこれらの溶剤を使用することもできないことも手動での加工を難しくしている。まさに超音波カッターで切断するのに適した素材といえる。

 スマホケースの加工

加工前のケースの重量

作業前にケースの元の重量を計測する。最小単位0.1gまで計測できるキッチンはかりを用意して作業前のケースを計測した。写真のように21gから上下0.1g単位でのぶれはあったものの、最も多くの計測結果は21gだったため、切断前のスマホケースの重量を21gとした。

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切断前の下準備

まず切断したい場所を決める。外枠は完全に残しつつ、強度も確保したい……というわけで背面の4カ所3角形に切り取り、×の字状にケースを残すことにした。切断箇所のマークはマジック等で印を付けると透明素材のため視認性が悪くなるため、以前紹介したクリアファイルの加工と同様、ケースにマスキングテープを貼り付け切断箇所を決めた。

×の字を描くようにマスキングテープを貼り付けた。テープで保護されていない部分の4つの三角形を切り取ることになる。今回は標準刃で切り取るためかなり大きな形状に切断部位を決めたが、カットする形が細かい場合は薄刃や曲刃等を使いじっくりと切断すると良いだろう。
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ケース内側の加工

まず切断したい場所を決める。外枠は完全に残しつつ、強度も確保したい……というわけで背面の4カ所3角形に切り取り、×の字状にケースを残すことにした。切断箇所のマークはマジック等で印を付けると透明素材のため視認性が悪くなるため、以前紹介したクリアファイルの加工と同様、ケースにマスキングテープを貼り付け切断箇所を決めた。

▲2分ほどの時間をかけケース内側のNormalモードでの刃入れが終わった所。0.5mm程度刃が入った状態になる。刃を入れた部位がうっすらと白く見えるのがわかるだろうか?
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ケースの切断

ケースの内側に一通り刃を入れたら、本格的な切断に入る。
スマホケースを立て、ケースの背面をやや浮かせた状態でケースを切断していく。ここではhighモードを使用し手早く切断を行った。
Normalモードの切断跡をガイドに刃全体を沈めてカット。今回の記事では写真の見やすさを重視しガイドのマスキングテープを剥がした状態で撮影したが、実際に作業を行う際はマスキングテープを貼ったまま行うと良いだろう。

また切断中は刃を動かす手が止まると溶けが生じるため手早く刃を動かしてカット。もし途中で刃の抵抗を感じたらすぐに超音波カッターの動作を止め、刃をケースから外し付近から切り直すのを繰り返して切断した。


▲力を入れずに超音波カッターの進む方向だけコントロールしながら切断を行う。刃が奥まで挟まってしまうと溶けが生じるだけで無く、超音波による振動が滞り切れ味が落ちるので注意。もし切断するケースが厚みがある場合は標準刃ではなく、長刃を使用した方が良いかもしれない。ある程度切断が進んだら切り落とした2面を持ち上げつつ切断すると刃の入るスペースを確保しやすくなる。
5分ほどかけてすべてのパーツを切断した。ケース背面に溶けたPCが残ったが、紙ヤスリ等で処理することで簡単に除去することができる。
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加工後のケースの重量

切断後のスマホケースを計測。重量は15g! 21g→15gに重量が変化。
重量にして6g、25%以上の軽量化となった。仕上げに溶けて残った部分をヤスリで除去すればもう少し軽くなることだろう。長時間使用するスマホであれば6gの差はかなり大きい。また、タブレット端末のケースであれば軽量化の恩恵はさらに大きいだろう。

大幅な軽量化となったスマホケース。ただし、むき出しの部分が増えればその部分への保護が甘くなり、強度的にも下がってしまう。そのあたりのバランスを考えつつカスタムしよう。


超音波カッターでの切断と相性の良いPC素材のスマホケースの軽量化を試みた今回のレポート。PC素材の切断は超音波カッターの実力をストレートに体験しやすい加工と言えるだろう。また、今回のようなカットによる軽量化だけでなく、使用する替え刃次第ではストラップ穴の作成なども容易に可能。
好きな形に切り抜いたり、別パーツを埋め込む隙間を作ったり応用次第で様々な使い方が可能。超音波カッターで自分ならではのスマホケースにカスタムに挑戦してみてほしい。

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(C)豊橋工専高校模型部